女性ホルモンのバランスを整えるといわれているブラックコホシュはハーブの一種で、北米の先住民の間で古くから婦人病や神経痛、関節痛、呼吸器などの治療に利用されてきました。
現在は日本でも食品、サプリメント、ハーブティーなどとして普及していますが、2011年にイギリスで「ブラックコホシュを利用しないように」と注意喚起されたように、世界各国で危険性が指摘されています。
日本では現在、ブラックコホシュの利用状況はどのようになっているのか、女性ホルモンに与える影響と考えられる副作用にはどのようなものがあるのでしょうか?
この記事を参考に、ブラックコホシュを選択するかしないかのヒントにしてみてくださいね。
ブラックコホシュが女性ホルモンに与える影響
ブラックコホシュは以下のような効果が期待出来るとされています。
- 女性ホルモンのバランスを整える
- 更年期障害の症状を抑える
- 月経不順・月経前症候群(PMS)・生理痛の緩和
- 骨粗しょう症を予防する
ブラックコホシュを摂取すると、女性にまつわる障害が緩和される効果が認められています。
これはブラックコホシュに女性ホルモンと似た働きをする「イソフラボン」が含まれているためです。
たとえば月経前症候群(PMS)は月経前に起こる腰痛・腹痛・むくみ・イライラなどの症状ですが、これは月経前に女性ホルモンのバランスが崩れることが原因のため、ブラックコホシュでバランスを整えるのが効果的とされているのです。
更年期障害(ほてり・のぼせ・頭痛・腰痛・うつ状態など)も加齢に伴う女性ホルモンの減少から起こる自律神経の乱れが原因なので、ブラックコホシュが活躍できる可能性があります。
さらに骨粗しょう症予防についてですが、これは主に高齢女性に効果的だとされています。
加齢で女性ホルモンが減少すると、骨の代謝が乱れて弱くなりやすい傾向があるため、ここでもやはり女性ホルモンに似た成分で働きを補うという目的で、ブラックコホシュが利用されています。
しかし実際のところ、上記の効果は十分な研究結果や科学的根拠が解明されておらず、疑問を持たれたまま利用されているのが現状です。
ちなみに助産婦さんの間では出産の際に分娩を促すためにブラックコホシュを使用することもありますが、これはあくまでも医師の指導ありきで行われているものです。
ブラックコホシュに考えられる副作用
一方でブラックコホシュの副作用も多数報告されているのでご紹介しましょう。
- 肝臓の炎症や肝不全
- 胃部不快感
- 頭痛
- めまい、視覚障害
- 心拍数の減少
- 痙攣
- 体重増加
- だるさ
- 食欲減少
- 発疹
副作用のひとつひとつは重大な障害ではないようですが、もしもこれらが現れた場合は体からのSOSだと捉え、使用を中止しましょう。
特に肝臓の障害(肝炎、肝不全など)は多数の症例があるようで、アメリカやヨーロッパでも注意情報が出されるようになり、日本では49例の肝障害が報告されていて、そのうち4例は肝移植が必要なほどの肝不全に発展してしまったというデータがあります。
その結果2006年の時点で厚生労働省から注意喚起がされていますが、完全に使用禁止されているわけではないため、現在でも日本ではブラックコホシュを含む食品やサプリなどが市販されています。
ブラックコホシュの利用にはくれぐれも気をつけたいところですね…。
ブラックコホシュを摂取する場合気をつけるポイント
前項で確認したように、ブラックコホシュが含まれる食品やサプリを摂取することには数多くの副作用が認められているため、使用は控えた方が無難です。
しかしどうしても摂取する必要がある人は、以下のことに気をつけてください。
- 体調に異常が少しでも見られたら使用をやめる
- 妊娠中・授乳中は絶対に使用しない
- 病気の治療中は使用しない
- 他のサプリと併用しない
- 専門家の指導のもと摂取する
- 長期間使用しない
当然のことながら、副作用と思われるものや体調異常などが見られたらすぐに使用をやめて、医療機関を受診してください。
ブラックコホシュは女性ホルモンに作用する成分なので、妊娠中や授乳中の摂取も危険です。
ドイツの薬用植物評価委員会では、最長でも6ヶ月までの利用にとどめるべきとの指摘がされています。
また、他の医薬品やサプリとの併用も思わぬ健康被害や副作用につながる恐れがあるため、避けましょう。
ブラックコホシュの摂取は控えた方が良い
以上に見てきたように、ブラックコホシュには更年期障害や月経不順、月経前症候群など女性ホルモンに関わるさまざまな婦人病に効果が期待されていますが、いずれも確固たる研究結果が出ていないのが現状です。
そのうえ肝臓の障害をはじめとする副作用も多数確認されているので、むやみにブラックコホシュを摂取するのは控えた方が賢明ですね!
治療のためにどうしても摂取が必要な人は、自分だけで判断せず医療機関やハーブ医療の専門家に相談をしましょう。
更年期障害やそのほかの婦人病への効果を期待させるようなサプリや食品、ハーブティーなどを見つけたら、ブラックコホシュが含まれているかどうかまず確認することが重要です。